第1章 飼っていたのは私の筈だったのに【年下】
「でも、こういうのもたまにはいいかもしんねぇ」
「なにが?」
「後ろからぎゅ―ってされンの、けっこう好きかも」
ナツキくんのお腹の前で組まれた私の手にナツキくんの手が重なる。
「一生懸命って感じする手」
そりゃあ、女の子と違って男の人の身体は大きいから、腕をまわすのも大変ですよ。
「かわいいなー。アズサは」
私の組まれた手を指先で優しく触るものだからどきっとした。
組まれた手がナツキくんの手によって少しずつ解かれていく。
指同士を絡ませてすこし、そういった気分にさせてくる。
どきどきし過ぎて、つい唾を飲み込んでしまった。
「なァに? 指だけで感じるっておかしくねぇ?」
悪戯に笑うナツキくんは多分、立場が入れ替わるのを少しずつ、待ってたんだと思う。
私に支配されてる立場から、自分が支配する立場に持っていくための。
こんなんでも、可愛いって思っちゃうのは私が年上からなのか。
それとも彼がそう思わせる何かを持っているのか。
「別に感じてない」
「あっそう」
彼の唇が私の頬に触れる。甘いガムの匂いがした。
そのまま、押し倒され彼が私に覆いかぶさる体勢になる。
「はい。俺がおとなしいのはこれまでー」
甘い気持ちでいっぱいになった頭の中。
甘い香りに包まれて、彼は私にこう言った。
「なァ、にゃーっていってみろよ」