第6章 Happy Birthday to me...【ラフ甘男子】
その言葉で、昨晩の「どこかで見たことがある」という記憶が、
パズルのピースのようにカチリと嵌まった。
彼は、あのお店の厨房の奥で、真剣な表情で指揮を執っていたあの人だ。
少し明るめの髪でラフな格好をしていたから結びつかなかったけれど、お店の看板を背負う、何度も見たことのあるあの姿。
「さあ、冷めないうちにどうぞ」
私は促されるまま、ソファに座り、ナイフとフォークを手にした。
一口、口に運ぶ。
「……っ、美味しい」
お店で食べるのと、全く同じ。いや、もっと美味しい。
「でしょう? 繊細に仕事をこなす職人ですから」
高城は満足そうに腕を組み、私が幸せそうにパンケーキを頬張る姿を、じっと見つめていた。
「一生食べても飽きないですか?」
「恥ずかしいから言わないで」
私は、パンケーキをもう一口、口に放り込んだ。
「忘れないようにしたいと思ったんですよ」
高城は私の目を見つめ、少しだけ真剣な表情になって、言葉を続けた。
「僕が一生分、あなたにこれをつくるの、
お誕生日プレゼントにできませんか?」
その言葉は、甘いパンケーキの匂いと共に、私の心の一番奥まで、まっすぐに届いた。
私の、新しい1年が、今、始まった。