第5章 年下わんこのビールとプリン
「あ おとなりさんじゃん」
深夜1時 静かにマンションの部屋を出ると隣部屋の男が何処かから帰ってきたようだった。
名前はたしかムラカミさん。仕事漬けなのか朝早く家を出て夜遅くに帰ってくる。今日だって土曜日なのに何故かスーツ姿。
「こんばんは、ムラカミさん」
「あれ。アズサってば俺の名前覚えてくれてたんだ」
少し、ではなくかなり馴れ馴れしく年下の癖に私を呼び捨てにするし、タメ口。でも憎めないワンコ的な愛されオーラを纏っている。
弟がいたらこんな感じなのかなあ。何か、かわいいかも。
余計なことを色々考えてたらムラカミさんはじっとこっちを見ていた。財布片手にラフな服装でいるからあんまり見ないで欲しい。穴開きそう。
「アズサ。もしかしてコンビニ?」
確かにコンビニに行くつもり。まだストックがあると思ってたコンタクトの保存液がなくなっていたからだ。
「そうですけど…」
彼はコンビニの袋と通勤鞄を持っていることから仕事が終わり帰ってきたところなのだろう。
「ムラカミさんは相変わらずの社蓄っぷりですね」
「仕事がもらえるって有り難いね」
ご近所迷惑にならないように小声で話す。
「じゃあ、また」
私がコンビニへ急ごうとするとムラカミさんは私を呼び止めた。
「そーいや、俺買い忘れあったわー」
ムラカミさんは自室の玄関ドアを開け、鞄とコンビニ袋をそのまま靴箱のうえにでも置いたのだろうすぐ戻ってきて開けた鍵をまた閉めていた。
「さあて。コンビニに向かいましょうかねー」
私の前を歩く。多分一緒に行くってことだと思う。マンションの近くにはコンビニが2つあって私の愛用してるコンタクトの保存液がおいてあるのは遠くにある方だ。
「私、あっちですから」
エントランスを出てすぐのところでムラカミさんとは反対に向かおうとするとムラカミさんは後ろから着いて来た。
「じゃあ俺もそっちのコンビニー」