第4章 景色
翔。
翔。
私が傍で翔を見てるのは、ここから5年後までだけど。
そこからはTVや人づての翔しか知らないけど。
あの頃から私は、翔が変わってしまったように思った。
少しずつ少しずつ。
気付いたら、同じに見えるけど何かが違うようになってた。
同じ方を向いて見える景色が、よく似ているベツモノになってることに気付いてしまった。
だから、別れた。
もう同じ気持ちのまま、二人で並んで歩いていけることはないんだって。
分かっちゃったから。
分かっちゃった気がしたから。
でも、私も少しずつ少しずつ変わってしまってたのかもしれないね。
空を見上げてる翔は、私の知ってる翔だ。
私が大好きだった翔だ。
口調がぞんざいで、結構どうでもいいことにすぐを腹を立てるような、『品行方正な好青年』なんてくそくらえとか思ってるような、そんな翔だ。
だけど、その裏側で人一倍いろんなこと考えて心配してる、見てるくせに見てないフリしてる天邪鬼な翔だ。
いつから、この翔が見えなくなっちゃったんだろうね。