第5章 戻れるはずもない日
翔がこちらを振り返る。
翔 「どーした?」
いつになく心配そうな顔して言った。
ひかり 「・・・・・・何が?」
翔 「何か、そんな不安になるようなことあったか?」
ひかり 「え・・・・?」
翔の手が伸びて、親指が頬骨をさすった。
翔 「何で泣きそうになってんの?」
やだ。
・・・・・・そんな顔になってんの?私。
気付かされたら、涙が一気に零れ出した。
翔 「え?!何だよ、どーした?!俺、何かした?!!」
ものすごい慌てふためく翔が愛おしくて。
余計に涙が溢れ出す。
そーだよね。
そうだったよね。
キッツイ物言いするくせに、泣かれると途端にビビっちゃうの(苦笑)
オロオロする翔が愛おしすぎて。
帰らない時間が愛おしすぎて。
私は嘔吐(えず)くほど涙を流し続けた。
翔 「・・・・・・何だよ。どーしたよ(焦)」
どうしたらいいのか分からなくて途方に暮れた翔は、右腕で私の頭を抱き、胸元へと引き寄せた。
翔、外でこんなこと絶対したくないタイプなのに(苦笑)
精一杯の優しさが痛いほど染みる。
翔 「・・・・・・何かあった?事務所から何か言われたとか?」
ひかり 「・・・・・・ううん、何にもない・・・・・ずずっ。」
翔 「汚ねっ(笑) 鼻水つけんなよ!(笑)」
ひかり 「付けてないよっ(笑)」
翔 「お、笑った(笑)」
腕を解き、体を離して、お互いの顔を見る。
翔が「ぷっ。」と吹き出した。
翔 「おまえ、ひっでぇ顔だな!(笑)」