第1章 初対面のカタチ
翔くんは「この人は?」って顔したけど、紹介も特にないから、と思ったのだろう。
私に向かって、軽く頭だけ下げた。
私は、完全に固まってて。
目礼だけ何とか。
・・・・・・・できたと思うんだけど。
視界に入った。
翔くんの・・・・・
翔くんの視界に・・・・・
入ったよね???
過度の緊張で呼吸するのもツラくなってきて、少しずつ後ずさりしながらその場を離れる。
憧れの人は憧れのまま置いておく方がいい。
って言葉の意味が分かった気がする。
裕美の旦那さんを中心とする円から何とか離れた後は、急ぎ足で扉の方へ向かう。
とにかく廊下へ。
廊下へ出て深呼吸したい!