第2章 反対から見たカタチ
裕美 「・・・・・・・あら?どこに行っちゃった?」
垣内さんの奥さんが後ろを振り返って言った。
翔 「・・・・・・・さっき奥さんの後ろに立ってた方のことですか?」
裕美 「そうそう。友達なんだけど、櫻井くんを紹介しようと思ってて・・・・・。」
翔 「廊下の方へ出て行かれたみたいでしたよ。」
俺はドアの方を指差した。
裕美 「ええ?また?何してるの、ひかりってばー。」
翔 「あのお友達の方、僕のことあんまり好きじゃないんですかね?(苦笑)」
裕美 「え?どうして??」
翔 「すっごい怖い顔してたんで(笑)」
裕美 「あははは!逆ですよー、逆!!あの子、嵐のすっごいファンですもん(笑)」
翔 「その割には、睨んでましたけど(笑)」
裕美 「えー?そんな顔してたました?!多分、緊張し過ぎて顔が強張ったんじゃないかな~(笑)」
翔 「かなり怖い顔してましたよ?」
裕美 「ものすごい櫻井くんのファンなんだけど(笑) テンパっちゃったんだわー、おかしー(笑)」
そう言って、おエライさんの奥さんはケタケタと楽しそうに笑った。
マジか。ははっ。
来たくもないパーティーに引きずり出された上に、興味もないアイドルの挨拶に付き合って機嫌がすこぶる悪いのかと思った。
すっげ怖い顔してたぞ?
そんな顔になるまでの緊張って、どんなだよ(笑)
さっきはそんな顔してなかったのに。
オレのファン、だって。
ふーん。
あの能面みたいに冷ややかな顔を、違う表情にさせてみたい。
そんな気持ちがちょっとだけ浮かんだ。