第7章 トラップのカタチ
ひかり 「あと、さっきのバーでの分、お支払します。」
翔 「あ、あれはいいよ。奢りです(笑)」
ひかり 「・・・・・・・・初対面の方に奢ってもらうわけには。」
翔 「お近づきのシルシってことでいいと思うけど(笑)」
ひかり 「・・・・・・・・そういうわけにはいかないです・・・・」
翔 「じゃあさ、そのお礼ってカタチで少し一緒に飲んでよ。お酒はキライじゃないんでしょ?」
ひかり 「・・・・・・・・おっしゃってることの本意が分からないので・・・・」
明らかに警戒しまくり。
ま、そーだよなー(苦笑)
翔 「飲むだけだよ?(笑) それとも、他に何かある?」
ピクッと眉が動いた。
ひかり 「・・・・・・・・・こういうことしたら、事務所とかに怒られたり・・・・・するんじゃないですか?」
翔 「あー、心配してくれてる?大丈夫、その辺はちゃんと考えてるから。」
それ以外にもちゃんと考えてるよ。
左手薬指に指輪。
ってことは、仮にヤっちゃっても吹聴したりしないだろ?
自分だって困るだろうから、そんなのバレたら。
言いふらしたりするタイプかどうかは、見た感じで大体分かるしさ。
ファンだってんで嬉しくて調子乗ってあっちこっちでつい言っちゃうタイプと、プライドがあるからそんな話他に出来ないタイプと。
間違いなく後者でしょ。
じゃないと、いくら何でもオレも声かけれないわ。
別に、いつもこんなことしてるワケじゃないし。
つーか、してないけどね。
無性にあの冷たい顔を崩したくて仕方なくて。
それだけで声かけてしまった気がする。
頭の半分では、「オレ何してんだろーなー。」って今も思ったりしてるくらいだし。
相手が何思ってるのか様子見てるけど、さっき眉が動いた以外は表情に変化がない。
んー。
どー攻めるかな。