第7章 トラップのカタチ
翔 「あとさ、丁寧語やめない?オレの方が下でしょ?」
ピクリとも顔のパーツが動かない。
出方、考えてんのかな?
翔 「ま、ルームサービスで頼んじゃったし、その分くらいは付き合ってよ。」
ひかり 「・・・・・・・・・・・・どうして私なんですか。」
あ、口開いた。
さっきバーで初めて声聞いた時にも思ったけど、ほわっとした丸い声だな。
見た目からだと、もう少し高めの通る声かと思ったけど。
翔 「興味がね(笑)」
睨みつけた顔を求めまくる顔にしてみたくって。
とは、言えねー(苦笑)
翔 「挨拶周りの時、すっげー俺のこと睨んでたから(笑)」
ひかり 「睨んで・・・・・・?」
翔 「怖い顔して見てたから、何でかなーと思って。」
ひかり 「そんなつもりは・・・・・・・ないですけど。」
翔 「俺のことキライなのかと思ってさ(笑) 逆に興味湧いたの。」
ひかり 「はぁ・・・・・・・。」
目線を一度椅子の方に流して、「ま、座ったら?」という意思表示をする。
彼女は少し考えて、諦めたのか座った。
翔 「とりあえずワイン頼んだんだけど、ブランデーとか飲める?」
ひかり 「・・・・・・分かりません。」
翔 「え?分からないってどーゆーこと?」
ひかり 「以前匂いを嗅いであまり好きじゃないと思ったから、飲んだことないんで・・・・・」
翔 「ふーん。じゃあ、今日試してみてよ。後で頼むから。案外イケルかもよ?普段は何飲んでるの?」
ひかり 「普段はそんなに飲みません・・・・・・」
翔 「丁寧語、やめようって(笑)」
2つのグラスにワインを注ぎ込む。
翔 「あ、名前。訊いてなかったね、まだ。僕は櫻井翔と言います(笑)」
ひかり 「・・・・・綾瀬ひかりです。」
グラスを差し出すと、彼女の手がおずおずとグラスを掴む。
翔 「じゃ、乾杯。ひかりさん。」
ひかり 「・・・・・・・・・乾杯。」
小さな声で彼女が呟く。