第5章 この崩壊は、突然で。
しばらく歩いてるとキョーちゃんが立ち止まった。
「丹羽先輩。もういいですから」
「彼氏ゴッコはおしまい?」
「駅からこれだけ離れれば充分です」
キョーちゃんの腰に当ててた手を引き剥がされて距離を置かれる。
「でも、ありがとうございました」
「俺、悪役慣れしてんの」
「何ですかそれ」
まあ軽く遊んだ相手切るときとか、そういうときに便利で身につけた技。
キョーちゃんには内緒の話だけれども。
「俺、演技派でしょ」
「軽そうにも見えましたけど」
「で、誰だったの?」
「会社の同期です。彼、来月から本社に行くことになって。
普段よりしつこく言い寄ってきたので」
「それただ告白されてただけじゃないの?」
「そうなんですかね。好きと言われても応え切れませんので何回もお断りしてたんですけど」
多分キョーちゃん優しいから遠回しに断ってそれが断りに受け取られなかっただけな気がする。
彼には申し訳ないことをしたとも思ったが俺を「こいつ」呼ばわりしてきたので自業自得。