第1章 おれのきもちはフクザツで。
夏の暑さが、俺を蝕む。
サウナ状態の教室ともしばらく離れられる時期、夏休みがやってくる。
去年の俺なら喜ぶところだが、今年は少し寂しい。
「キョーちゃん、夏休みですよ」
「そうですね」
「キョーちゃんは夏休み、学校来る?」
「部活もしてませんし、行きませんよ」
「そっか」
「じゃあ、良い夏休みを」
「うん。キョーちゃんもね」
毎日とは言わないけど、2日に1回くらいは話してた彼女と1ヵ月半話す機会がない。
とりあえず、少し寂しい。
と思っていたはずなのに今日、キョーちゃんが何故か学校に着ていた。
昇降口で出会って彼女が歩く方向についていく。
朝の、結構早い時間。
俺は部活があるから来たけど彼女は来ないといっていたのに来ている。
何故だろうと彼女に声を掛けた。
「キョーちゃん、なにしてんの?」
「あ、丹羽先輩。こんにちは」
「はい、こんにちは」
「私は図書室に来ました」
「何借りるの?」
「読書感想文の本です」
「そっか、俺も書かなきゃいけないんだよな」
「じゃあ、一緒に借りますか?」
珍しく、というか初めて彼女が誘ってくれたのでそのままついていった。
図書室は静かだった。人がいなくて、委員会の子もいないみたい。