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言われてみれば、単純で。

第3章 俺と君は、曖昧で。01


「はい、どうぞ」

「ありがと」

キョーちゃんは自身のジッポに火を点し俺の煙草に火をつけた。
これ、前も1回やられたことがある。最初に一緒にのみに行ったとき。


「それ、どこで覚えてきたの?」

「何がですか?」

「わざわざ火をつける必要ないでしょ。
ライター手渡せばいいじゃん」

「だってこれは私のライターですから。
人に手渡すなんてなくしたらどうするんですか」

「そういうこと?」

「そうですよ。命綱です」

「それは言い過ぎ」

何処かで変な男に覚えさせられたのかと思っていた。
どうやら違ったようだ。


それにしても、こんなに大事にするものって。
一体どんな思い入れがあるのだろうか。

それは俺が聞く前に彼女が話し出した。


「このジッポは特別なんです」

「誰かから貰ったの?」

「いえ。自分で買ったんですよ。
就職して、初めてのお給料で買いました。
ずっと憧れてたブランドのジッポライターなんです」

大きなオーブが描かれていたZIPPO。
彼女がよく身に着けているアクセサリや洋服にもこれが描かれているのを何度か見た。

「だから触らせたくないの?」

「まあ基本に自分のものは自分で管理したいですから」

「じゃあそのジッポちょっと貸して」

「はいどうぞ」

「あれ?触らせていいんだ?」

「先輩だからいいんですよ」

なにそれ。いつもの台詞なのに使い方が違う。
嫌がらせしてやるつもりが逆にやられた。

先輩だからいいんですよ。

それって特別扱いされてるって思って良いってこと?

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