第3章 俺と君は、曖昧で。01
今日は土曜日。
俺はただ、テレビを見てるだけ。
つまらない番組だったけどキョーちゃんがTVをつけてくれたので見ている。
一方TVをつけた当の本人は読書中。
先週俺が読んでいた専門書を読みたいと言い出した。
それは専門外の彼女からすれば難易度が高いだろうと大学に入ったばかりのときに買った初歩的な本を貸した。
彼女は時折俺に質問しながらそれを読み進めている。
だから俺は自分の本を読まずにここで待機しているわけだ。
全然畑違いな本の何が面白いのかは分からない。
でも彼女は中学時代から様々なジャンルの本を読み漁ってたのでそれの延長なのだろう。
つまらないTVにも飽き、窓の向こうを見る。
天気は雨。水滴が窓ガラスを流れている。
昼間だというのに薄暗い雰囲気、そして湿気っぽいこの空気。
憂鬱なこの天気。
でもキョーちゃんが居ればちょっとはマシになる。
中学のときもそうだったっけ。
雨の日にキョーちゃんに会う。
それだけで憂鬱な気分がリセットされてたっけ。
たまたま視線を戻したTVでは美味しそうな料理が並んでいた。
名前は知らないが何処かで見たことあるタレントが料理をしているようだ。
あんな不器用そうな手付きをした人間がこんな上手に盛り付ける訳がない。
TVってすごい。まあ、演出的な意味で。
少なくともこのタレントより俺のほうが料理できると思う。
あまり料理しないけど。
キョーちゃんの家のキッチンは結構充実してる。
何故知っているかというと彼女の家で煙草を吸うときは換気扇の下に追い遣られるからだ。
見てもよく分からない調理器具と調味料が所狭しと並んでいる。
物は多いはずなのに綺麗に整頓されている所為でそれを感じさせない。
まさに彼女らしい、そういった様子。
あの空間はキョーちゃんの縮図だ。