第12章 ●悪趣味の悩み
「エルヴィン、一体何に悩んでるの?」
「何にも悩んでないよ。」
平静を装い、冷静な口調で言ってみるが、
凛の表情は硬いままだ。
……もっと他の方法で、凛の気を
この話題から逸らすしかないか。
指先に神経を集中させ、
再び陰部に指を滑らそうとした途端、
その手を掴まれて動きを止めた。
「何にも悩んでないのに“そんな風”なの?」
「……そんな風?」
「エルヴィンも分かってるんでしょ?
全然集中してないことくらい。
本当はしたくないってこと?」
「そんな訳ないだろ!」
思わず声を張ってしまい、
しまった……、と思うが、時すでに遅し。
小さくため息を吐いた凛に
そっと抱き寄せられ、
柔らかい胸元に自然と顔を埋めた。