第20章 選択肢は少なすぎても多すぎても困るもの
銀時「いつ俺が自惚れたってんだオイ」
桂「何?気づいていないのか?それが自惚れ以外になんと言うのだ」
銀時「…」
桂「幸せにできない?当たり前だろう」
銀時「分かっちゃいるがテメーに言われんのは腹立つ」
桂「金も無ければ仕事もロクにしない。そのうえ女の扱いなぞ微塵も持ち合わせていない貴様に誰が幸せにしてもらおうなどと考える」
銀時「お前ェだって仕事して無ェだろうが指名手配犯。しかもお前ェ昔遊女にすら捨てられてたじゃねーか!お前ェには言われたくねェんだよ!!」
桂「その話はいいだろう!今はいいだろう!そもそも俺は人妻NTRが好きなんだ、遊女は別にいいだろう!」
銀時「黙れ変態!」
ねェ何の話だっけ
桂「今はそんな話をしている場合では無い!」
そうそう
桂「要するに、幸せ云々は関係ないということだ、銀時」
銀時「はァ?」
桂「そもそも俺が貴様にここまで腹を立てているのはそういうことではない」
銀時「あれ、怒ってんの?」
桂「怒っているだろうどう見ても!」
銀時「どう見ても通常運転」
桂「いちいち話の腰を折って逃げるな銀時」
…あ?
銀時「俺がいつ逃げた」
桂「俺は、貴様がここまでヘタレな男だとは思っていなかった。他の好きな男のところへ行くよう促しただと?促すくらいならいっそ告わなければよかったものを」
銀時「…告えって言ったり告うなって言ったりどっちにして欲しいんだテメーはよ」
言葉の節々に心がざわつき、イライラする。
桂「俺は何も告白を強いるつもりは毛頭無い。何か理由があるなら言わずにいるのも貴様の勝手だ、銀時。ここに連れ出したのはその理由を聞くためだ。しかし、貴様が言っていることは理由ではなく言い訳だろう」
銀時「オイ、二番煎じの台詞は聞き飽き…」
桂「自分が傷つきたくないがために逃げたのだ。逃げて、さくら殿を一番酷な立場へ追いやったのだ。何も言わず気丈に振る舞ってくれているさくら殿に感謝するんだな」
銀時「…」
そう言った桂は足を崩して頬杖をついた。
分かってる。
俺だってそのくらい分かってる。
何度も考えて後悔した。
だからって
銀時「じゃあ今更どうしろってんだ」
桂「何、簡単なこと」
さっきまでの剣幕はどこへやら。
こともなげに桂は言った。
桂「もう一度告うほかあるまい」
