第20章 選択肢は少なすぎても多すぎても困るもの
桂「さて銀時」
銀時「いやお前…」
桂に連れて来られたのは、さっきさくらと一緒にいた場所から数メートルしか離れていない土手。
いやいやお前…
銀時「近ェだろーが!!!」
何、今から割と大事な話するんじゃないの?
何のためにさくらから離れたんだよ丸見えじゃねーか!
見ろよ!
さくらも『あ、何、そこなの…』って顔してっから!
桂「なんだ銀時、貴様が思っているほど重大な話などせんから安心しろ」
銀時「あ、そうなの?」
桂「ああ。して、貴様がヘタレだった件についてだが…」
銀時「重大な話じゃねーのかソレは!」
桂「大した話ではないだろう」
銀時「そのウザい長髪角刈りにしても良い?ねえ」
桂「何故さくら殿に想いを伝えていないのだ」
銀時「…」
桂「銀時」
詰め寄る桂の長い髪が視界にチラつく。
銀時「…た」
桂「何だと?」
銀時「言ったって言ったんだよ」
桂「振られたのか」
銀時「俺が他の男んとこ行けって言ったんだ」
桂「逃げたのか」
淡々とこいつは…
銀時「まぁ…そうとも言う」
桂「そうとしか言わん」
切るように言う桂に腹が立つ。
だったら…
銀時「だったらどうすりゃ正解だったんだよ」
桂「正解?」
銀時「アイツは大串君に惚れてんだ。もしそうじゃなかったとしても…」
もし、そうじゃなかったとして…
銀時「俺は…さくらを幸せにできねェ」
金も無ェ、仕事もロクに無ェ、人望も無ェ、優しくもしてやれ無ェ
アイツが、好きな奴に幸せにしてもらえるってんなら
…それで良いじゃねェか。
桂「自惚れるな」
銀時「あ?」
桂「聞こえなかったか?自惚れるな、と言ったんだ」