第18章 苦難の中の力
『え、これ、もしかしてもしかすると総悟?』
沖田「総子ちゃんでさァ」
『あ、ノリノリなんだ』
もう一度画面に視線を落とす
そこにいるのは、ウィッグをつけて髪の毛をセミロングほどまで伸ばし、胸元に入れた詰め物でスタイル抜群になった総子ちゃん。
元々中性的な顔立ちの総悟は、淡い色の着物が似合う超絶美少女へと大変身を遂げていた。
…
沖田「さくら?」
黙り込んだ私の顔を、総悟の端正な顔が覗き込む
その少し色素の薄い瞳と目が合った瞬間―――
『…フッ』
沖田「?」
『ファァァァッ!』
バキンッ!
ガラパゴスケータイの折れる部分を膝でまっぷたつにかち割った。
『何でそんなに可愛いのよォォ!おかしいでしょアンタ男でしょ!憎い!この世界が憎い!』
沖田「あらら、こいつァ駄目だ。完璧にお釈迦んなっちまった」
総悟は狂ったように暴れまくる私に目もくれず、落ちた"元"ガラパゴスケータイを拾う
『うがァァァァ!』
沖田「まあまあ、落ち着きなせェさくら。これで分かった通り、カマっ娘コンテスト真選組代表は俺に決まったって訳だ。てーことで…」
『?』
軽く腕を掴まれて店の前へ連れて行かれる
沖田「さくらにはこの着物に似合う簪を探して欲しいんでさァ」
『…簪?』
沖田「俺ァ別にあの着物だけでも構わねェんだが、松平のとっつぁんが簪買ってこいってうるせーんだ」
『簪は確かにあった方が可愛いと思うけど…私が選んでいいの?』
沖田「女物は女が選ぶ方が確実だろ?」
『だけど…あんまり自信無いよ』
さっきここに来たときだって、結局滅びの呪文叫んで逃げちゃったし…
ただでさえ自分の事も手一杯なのに、人のものを選ぶなんて…
沖田「フッ」
『?』
なかなか結論を出せずに悩んでいると、総悟が優しく私の手を引き、そっと店の中へ促した
沖田「俺がさくらに選んで欲しいんだ」