第18章 苦難の中の力
沖田「ほら、行きやすよ」
『ちょ、分かったから…!』
グイグイと背中を押されて小物屋に入ると、中にいた店員が一斉にこちらを見て一言
「「いらっしゃいませ!」」
『おおぅ…』
こちらに突き刺さるキラキラスマイルに思わず気圧される
沖田「何でィ、さくらはこういうとこに来んなァ初めてかィ?」
『いや…初めてって訳じゃ…』
沖田「なら丁度いいや。俺はこんな女物しか無ェ店は初めてなんでね、案内頼みまさァ」
『案内!?案内も何も見りゃどこに何が置いてあるかぐらい…』
沖田「おーいさくらこっち来てみな、おもしれぇもん売ってやすぜ」
『…案内いらねーじゃん』
案内しろとか言ったくせに、一人でズカズカと店の奥へ入っていく総悟
『もー…何しに来たのよ』
初めて会った時から変わらない、相変わらずな総悟の態度に軽く溜め息をついて総悟の元へ向かう
『ブリーチ剤?髪の毛染めたいの?』
沖田「いや、これって白髪染めと何か違うんですかィ?」
『白髪染め…ってそんなあなたまだ10代でしょうに…まあ、でもそんな感じかも。お洒落のためか、歳を誤魔化すためか、って感じじゃない?分かんないけど』
沖田「なるほどねィ」
納得したんだかしてないんだか、総悟はまた棚をガサガサ漁り始める
そんな子どもの様な総悟の横顔を見つめ、つい笑みがこぼれた
沖田「何でィ、さっきからニヤニヤして。気になる色でもあるんで?」
『あ…いや、そうじゃなくて』
沖田「?」
『たまにはこういう買い物も楽しいなぁ…と思って』
そう言って笑って見せると、総悟は黙ってしまう。
沖田「…」
『総悟?』
沖田「さくら、アンタ今…俺といて楽しいか?」
『うん』
沖田「…そうか」
『何?』
沖田「いや…」
総悟は私の目を真っ直ぐ見つめて笑う
沖田「さくらがそう思ってんなら俺ァ…」
『え?』
沖田「…」
『あだっ…!』
セリフ半ばでやめてしまった総悟を促すと、何故かデコピンが降ってきた