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目に纏わる話

第2章 クールに行こう


シンタロー視点










小さいころの夢を見た。


あの夏の繰り返しが終わってから頻繁に見るようになった、俺が十歳で、まだ合気道を習っていた時の夢だ。



土曜だからか学校が休みで、俺は合気道の朝練をしていた。終わって先生に礼をし、俺は急いで先生の家の裏手に走っていく。そこには窓が一つだけあり、俺はその窓を軽くノックした。


『おはよう、シンタローくん』


中から顔を出したのは、俺の友達だった女の子。「だった」というのは、俺がその子のことを覚えてないからだ。


女の子が学校に行っていないことや、好きな食べ物とかは覚えている。だが声や髪の色、顔は全く覚えていない。夢では人の形が見えるだけだ。


『今日はなんの本のはなしをしてくれるんだ?』

『えと、今日はリンゴをうる女の子のはなしで…』


夢は毎回同じ内容でなく、少しずつ違っていた。学校があった日は俺がその日の出来事を話し、ない日は女の子が読んだ本の話などをするのが俺たち二人の決まりになっていた。












『もうこんな時間だね…、シンタローくん、あしたも来てくれる?』

『あぁ、ぜったい来るよ。やくそくする。』

『じゃあ、ゆびきりしよう』

『『ゆびきりげんまん…』』

俺とあの子はいつも帰るときに指切りをしていた。次に絶対に会えるように。


『またね、シンタローくん』

『またあした、チトセ』






















部屋に響く騒音に、あわてて目を見開いた。


「やっと起きましたか、ご主人!」

「エネ、お前…」

起き上がり、騒音の原因を見るとエネはしたり顔をしていたが、いっこうに怒らない俺を見て何か察したらしい。

「…例の夢ですか」

無言で返すと、エネは肯定と受け取って眉を顰めた。

「本当に誰なんでしょうね、夢の女の子は」

さあ、と一言返して、俺は再びベットへ寝転がった。エネは何も言ってこない。こういう空気はちゃんと読んでくれる奴だ。






すごく大切な存在だった気がするのに、なぜ覚えてないんだろう。

夢の最後に呼んだ名前は、とうとう思い出せなかった。























「あ、ご主人!そういえば団長さんがアジトに来いと言ってました!」

「はぁ!?早く言えよそれ!」

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