第39章 キセキの崩壊
その頃黄瀬は1人で帰路を歩いており、昨日の試合での自分のプレイを思い出しながら風の音を聞いていた
黄瀬
「(あーまただ…最近また聞こえるようになった、風の音。バスケ部に入る前、俺がすべてに冷めていた頃に聞こえていた音)」
彼がそう思っているとピリリリリ…と携帯が鳴り始め、「はいもしもし…」と出てみるとマネージャーからの電話だったらしい
黄瀬
「え?モデルの仕事っスか?今度の土曜日…?いやぁ…その日は練習があるんで…」
そう答えた彼だったが冷めた表情で、まだ冷めていた時に聞いていた風の音を聞いて「やっぱちょっと…考えさせてもらっていいっスか」と答えた
一方赤司の発言を聞いた黒子は少ししてから「そんな…」と反応し、悔しそうに下を向いてから「勝つこと以上に大事なことは、ないんですか?」と問い掛けた
赤司
「ない。なぜなら帝光の理念は「勝つこと」だからだ。そのため最善の形が変わっただけで理念は何も変わっていない
ただ少し前までの形がたまたまお前にとって居心地よかっただけだ
居心地が悪くなったとたん不満をもらすようでは困るな、覚悟が足りなかったと言うざるをえないし、その程度の覚悟では何も変えられない
漠然とした理想など無力なだけだ」
赤司の言葉に黒子はこの間の青峰との会話を思い出して、目を見開いてからまた下を向いた
黒子
「…その通り…なの…かも、しれないですね…。成長すれば人は変わっていく…なのに僕は、全中に優勝する前に、あの頃にただ…必死で戻りたかっただけなのかもしれません」
赤司
「もし辞めたいのならば止めはしない、あとはお前しだいだ。続けたいというのならば受け入れろ
この先も、帝光の6人目であり続けたいのなら」