第39章 キセキの崩壊
翌日、練習の際に緑間は「紫原は今日も休みか」と誰ともなく呟いた。すると近くに居た仲間が「はい…あとおそらく青峰さんも…」と言って、「…わかったのだよ」と返事をしてから彼は舌打ちをした
その様子を黄瀬はボールを見つめたまま見ていた
その頃紫原はポッキーを口に咥えて下校しており、青峰は屋上で寝ていた
桃井
「青峰くん、今日も練習…出ないの?」
青峰
「いーんだよ別に、昨日の試合だって30点はとっただろーがよ」
桃井
「…青峰くん、赤司くんのこと…どう思う?」
彼女の言葉にようやく彼は桃井の方に目線をずらし、体育館にいる黄瀬はそれに返答するかのように「やっぱ変わったっスよねー」と言った
緑間
「…何がなのだよ」
黄瀬
「フンイキっスよ、練習の。真面目にやってるし声も出してるけど…殺伐としてるっつーか、なんか減ったっスよね。仲間意識みたいなそーゆー感覚
元から部内のレギュラー争いは激しかったし別に和気あいあいだったわけじゃないっスけど、監督と赤司っちが方針を変えてからっスよねやっぱ
緑間っちもイラついてるじゃないっスか」
そう言った彼に緑間はまだ返答しなかったが、まるで代わりに答えるかのように青峰がさきほどの桃井の問いに「さーな、知んねーよ」と簡単に返した
桃井
「何か変だと思わない?前と違うっていうか…」
青峰
「…試合中のプレイは変わったかもな、パスが単調になった。マーク外した奴にただボールを渡すだけ、けど赤司がやってるならそれはわざとそうしてるんだろ
実際試合で結果は出てる。別にバスケに仲良くやらなきゃいけないなんてルールはねーだろ。赤司の言動が変わったのもそのせいかもしんねーし、何か他に理由があったとしても俺にはカンケーねぇよ
どんな形でも勝てばいいだろ、別に…」
その言葉を聞いた桃井は目を見開き、先ほどの質問にようやく緑間が反応した
緑間
「どんな形だろうと部の方針ならば俺はそれに従うまでなのだよ。変わったところでどうこう言うつもりはない。俺が気にくわんのは、今の青峰と紫原だ
どんな理由があろうと練習に来なくていい言われてこないような神経は理解に苦しむのだよ
人事を尽くさん奴となどどちらにせよ仲良くなどできんな」
それを聞いた黄瀬は冷めたような表情をし、彼の耳には風の音が聞こえた