第39章 キセキの崩壊
その帰り道、黒子と桃井は2人で一緒に帰路を歩いていた。その2人の空気はどこか重く、あまり明るい雰囲気ではなかった
黒子
「今日の紫原くんはすごかったですね、おかげで僕はまったく出番がありませんでしった」
桃井
「うん…そうだね」
黒子
「けど…同時に怖くもなりました」
桃井
「!」
黒子
「彼の成長ぶりを見ていると…青峰くんが変わってしまった時のことを思い出します」
そう言って黒子は全中の際の青峰の変わりようを思い出し、悲しそうに目を伏せ視線を下に向けた
彼の様子に桃井は口には出さないが「テツくん…」と彼の名を呼び、話しかけた
桃井
「ねえ…テツくんは青峰くんと話した?」
黒子
「!…すみません…全中終わってからは…まだ…何も…冷めている部分もありますが練習には毎日来ていつも通りメニューをこなしています。だから逆に話すきっかけがなくて…
ただ…青峰くんの苦悩が消えたわけではないし、練習中もフラストレーションが溜まっているのはわかります
なんとかしたいと思ってはいるのですが…正直今の僕にはわかりません…」
そう話していると桃井が不安そうに俯きながら黒子の夏服の袖を引っ張り、「みんな…ずっと一緒だよね…?」と問いかけた
そして前を、黒子を見ながら「みんなバスケットが大好きで…これからもずっと…仲良く一緒にやっていけるよね…!?」と問いかけた
彼女の問いに黒子は「…はい。ずっと…一緒です」と力なく答えた
ほぼ同時刻、赤司の家では彼の父と彼が長テーブルの上座と下座に座って、2人きりでご飯を食べていた
征臣
「征十郎、この前部活動の全国大会で優勝したそうだな」
赤司
「はい」
征臣
「学業の方はどうだ?」
赤司
「問題ありません」
征臣
「…フン、ならばいい。部活動も学業に支障が出るようでは本末転倒だ。だが学業に専念せねば首位もとれないような奴も話にならん。両方この調子で続けなさい
文武両道…いや、あらゆる面で秀でていてこそ、赤司家の人間だ」
赤司
「…はい、父さん」