第35章 完全無欠の模倣

降旗
「そんな…パスだけならまだしも…」


小金井
「幻影のシュートは視線誘導が使えなきゃ撃てないはずじゃ…」


木吉
「（いや…使っていない…！幻影のシュートの秘密は変則シュートによる視界から外れやすい軌道と視線誘導
黄瀬は変則フォームを再現しそこから緑間のような高弾道で撃つことで初速を上げて視界から外した…！）」



黄瀬の放ったシュートは綺麗にリングを潜り、会場をまた驚かせた

その事から観客はみな海常のことを応援し始め、河原は「な、なんだよこれ…」と再び動揺を見せた。そして福田は「これじゃまるで…誠凛は適役じゃないか…」と焦っている選手たちを見ていた



氷室
「海常は完全に観客を味方につけたな。途中黄瀬を欠きそれでもくらいつこうとする懸命のプレー、そして絶体絶命のピンチに黄瀬が戻りそこから怒涛の追い上げ。応援したくなるのは自然海常だろう」


紫原
「…」


氷室
「こうなると逆に苦しいのは誠凛だ。差がつまるたび湧き上がる会場。ミスをすれば喜ばれシュートを決めても歓声はない
追われる重圧に敵側と化した会場、この中で平常通りプレーするのは至難の業だ」



そんな中放った日向はシュートはリングに掠りもせず地へと落ちて、黒子が小堀がとり前にとった。だが観客は相変わらず海常を応援していた

動揺している選手達に相田はT.Oをとろうとｂ立ち上がったが小金井はさっきとったばかりであることを言った



相田
「（前のT.Oでの日向くんの言葉…あの時気づくべきだった）」



彼が言った言葉は「ミスしては絶対できねぇぞ」と普通の言葉だった。が、人の脳は「～してはいけない」「～するのはダメ」など、否定的な命令を受け付けるようにはできていいない

「ミスしてはいけない」「失敗してはダメ」こうして思考は体をかたくし逆にミスを誘発する要因でしかない。考えるほどにミスを連発しプレーの質は低下していく

そんな考えからか木吉はパスを取りそこね、火神の速度は落ちていた