第16章 裏の事実
拓 「・・・・さっきさ、俺、お前に、好きな奴がいるっつったじゃん。」
明菜 「・・・?」
グスッと、つい鼻をすすってしまいそうになり、やっとのことで堪える。
むず痒い不快感にとらわれながら、私は、
相手の言葉の意図を探りかねた。
明菜 「・・・・・言いました。」
拓 「うん、でさ、お前には一応、相手のこと、言っとかなきゃいけねぇって思ったから」
すぅ、と小さく息を吸う音が受話器越しに聞こえる。
拓 「みゆきなんだよ。」
と淡々と言う拓センパイの声が嫌に冷たく刺さった。
みゆき・・・・が?
目の前が、真っ暗になった。