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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第66章 戦う理由








「水面化で必要な物資の注文は済ませていたんだ。
問題だったのは金銭面の事についてのみで、
それも先日の懇親会で十二分に稼げたから、
早めの壁外調査実施に踏み切れた。ある意味ナナシのお蔭だね」


全員でナナシに視線を向けると、
彼は複雑そうな表情で水を飲んでいたので
特に異論や意見は無いものと判断し、話に戻る。


「前回起こった不測の事態のせいでダメになった物資も
調達出来る手筈になっているし、二度と壁外遠征中に
扉の開閉装置が壊されないように見張りを強化しておいてほしいと
駐屯兵団にお願いしておいたよ」


お願いというか、脅してきたんだろう・・・それは。

こういう所では本当にエルヴィンが団長で頼もしいなと思う三人だった。


「・・・失敗した。壁外遠征に行っても良いなんて
言うんじゃなかった・・・。万年貧乏兵団と高を括っていた事が
仇になるとは・・・」


今まで静かだったナナシが頭を抱えながらそう零したので、
四人は一瞬目を見開いて驚いたがすぐにエルヴィンは凄絶な笑顔を作った。


「今更壁外調査に行きたくない・・・なんて言わないよね?ナナシ。
君は約束を破らない子だ。それに次の調査では君の戦闘力も
考慮してあるから抜けられるのは困るんだよ」

「セクハラとパワハラをしまくるお主とは違い
約束を守る主義だが、悉く約束を破られている身としては
・・・今回の約束は反故にしたい気分だ」

「あははは、冗談はやめてくれ。それとこれとは別問題だ。
個人的な感情を優先して組織に迷惑を掛けるだなんて、
君はそんな事しないだろう?」

「その個人的な感情の発露でセクハラを行っている輩に
言われとう無いな。廻り回って組織に迷惑が掛かると
団長として知る良い機会ではないのか?」

「今それを思い知っているつもりだ。君との意見の相違は
充分話し合うべきだと痛感しているよ」


つまりエルヴィンとしては常日頃ナナシに行っているのは
『愛情表現』であり『セクハラ』ではないと主張しているのだ。

多分ナナシがいくら『セクハラ』だと主張しても
目の前の男は絶対認めないし、揉み消すだろう。

ナナシは諦めたように溜息を吐いて、エルヴィンに向き合った。



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