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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第66章 戦う理由








「・・・私も口でお主に勝てるなど思っておらんし、
話が噛み合うとも思っていない。だが、
最後に一つ聞きたいことがある」

「何だい?改まって」


小首を傾げるエルヴィンにナナシは真剣な表情で尋ねた。


「お主達は何の為に壁外へ行っているのだ?
『人類の為』と称しているのは以前から聞いているが・・・
本心が知りたい」


この期に及んでナナシからそんな事を聞かれるとは思っていなかった面々は
呆気に取られたが、エルヴィンはすぐ神妙な面持ちで
ナナシと向き合う。


「マリアの領土を奪還し食糧事情を改善したい・・・
というのはわかるが、それ以外がわからない。
人間というのはそんなお綺麗な正義感だけで壁外を目指せる程
強いとは思っていないからな。
他の兵士は兎も角として、何度も壁外に行っているお主達が
あの残酷な世界を見て、どんな大義名分で動いているのか
・・・それを知りたいと思った」


四人は途端真剣な表情で沈黙し、エルヴィンが三人の疑問を
代弁するように口を開いた。


「・・・何故、そんな事を知りたい?」


探るような四人からの視線にナナシは迷いなく真っ直ぐ答える。


「正直に言えば、今の私に壁外を目指す理由は一切無い。
それ故、死に物狂いで生きたいという気持ちも無い。
それは戦いにおいて迷いにも繋がり死に直結する致命的なものだ。
強い信念があれば必ず生き残れるとは言わぬが、
それが無ければ容易く死を受け入れてしまう場合もある。
私は戦う『理由』が欲しい。生き残って成すべき事があるのだという
気概が私には欠けておるのだ」





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