過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第65章 男か女か
ナナシの疑問を察したのかエルヴィンは冷徹な目を向けながら
無慈悲な言葉を投げた。
「君が娼館に行くことは許可しない。ゲルガー達はもう出発させたよ。
娼館での資金援助を打ち切る話をしたら、
彼らは草原をかける風の如く去って行ったよ」
何て事してくれやがったんだ!この七三野郎っ!!
人の下半身事情にまで口を出してくるエルヴィンに
ナナシはかなり苛立った。
今からでも一人で娼館に行ってやる!と考え、
部屋を出て行こうとしたが、扉の前にはリヴァイが
立ちはだかっており、ナナシは今更ながら
この部屋に足を踏み入れてしまった時点で詰んでいた事を悟る。
足を怪我しているのに、三対一など分が悪すぎる・・・・。
エルヴィン一人だったら、まぁ・・・何とかなったかもしれないが、
リヴァイとミケがいるとなると勝てる気がしない。
特にリヴァイは怪我をしている足を容赦なく攻撃してきそうだ。
ナナシが脳内で勝率を導き出した頃を計算したかのように、
エルヴィンが「どうせなら少し話でもしようか?」と
胡散臭い笑みを浮かべながら執務椅子から立ち上がった。
徐々に近づいてくるエルヴィンの巨体に恐怖を感じながら、
ナナシは脳内で勝率の再計算を行う。