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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第58章 お人好しの生贄










――前言撤回だっ!

エルヴィンの選んだ女がそこら辺の女と一緒のはず無かった!

この女も充分変わり者だっ!

しかも、恐ろしい程の洞察力を持っているようで
ナイルが長年掛けて辿り着いたエルヴィンの本質を
あっさりと言ってのけた。



何故そこまでエルヴィンを理解していて、
間違いを指摘してやらないんだ!?という憤りが
ナイルの中で渦巻く。

私情を挟んでこその恋人だろう!?
何で二人してそれを排除しちまうんだっ!?

ナイルにはそれが理解できない。
ナイルだったら、まずそれを指摘してエルヴィンを怒鳴りつけるだろう。

・・・・いくら怒っても徒労に終わるけれど。


「あんた、エルヴィンの事をわかっているのに
何故変えてやろうとしないんだ?」

「本人が望んでいないのに変えようとするのは傲慢だと思います。
それに・・・・そんな私情に揺れてしまったら
彼の悲願は達成されません」

「そうかもしれないが、あんたはそれをやっても
許される立場じゃないのか?」


ナイルの言葉にナナシはチクリと心が痛んだ。
自分はどう足掻いてもそれを許される立場にはいない。


「いいえ、私もエルヴィンにとって駒の一つでしかありませんので・・・・」


それが正しい自分の立場のはずだ。


ナナシがキッパリ否定すると、
ナイルの顔が苦しそうに歪められた。





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