過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第58章 お人好しの生贄
「じゃ、じゃあ、あんたはエルヴィンのどこに惚れたんだ?
ぶっちゃけ、あいつはかなりの変人だぞ?それわかってて
婚約したのか?」
「正直言うと、顔です」
「・・・・・・・・・・顔?」
「はい。見目がとても良いですよね」
ナナシの答えにナイルはポカンと口を開き、
次の瞬間には肩を落とす。
そして心中でこっそりエルヴィンの心配をしてしまった。
昔っからエルヴィンは顔だけは良いから女が
引っ切り無しに言い寄ってきたが、この婚約者も同じらしい。
おまえの婚約者も所詮そこら辺の女と同じで外面しか見てねぇぞ!
良いのか、そんな女でっ!?
ナイルの落胆に気づいているのかいないのか、
ナナシは普通に会話を続ける。
「ドークさんの仰る通り、エルヴィンはかなりの変態です。
彼が何を考えているのか未だにわからない時の方が多くて
戸惑いますが・・・むしろ彼は始めから理解を
求めていないのかもしれません」
「・・・・・・・は?」
ナナシが何を言っているのか一瞬わからず、
ナイルはマヌケな声が出てしまった。