過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第49章 男たちの戦い
暫く経った後、
何事も無かったように冷静さを取り戻したエルヴィンが、
執務椅子に座り先程の話を再開し始めたので、
ナナシは距離を取りながらそれに耳を傾ける。
リヴァイも不機嫌そうだったが、大人しくエルヴィンの話を
聞くようだ。
「ドレスの問題が無くなったので、これから君に重大な任務を伝えるが
・・・懇親会では私の婚約者として出席して欲しい」
「断る。話が終わりなら仕事に戻るぞ」
マッハのスピードで拒否して退室しようとするナナシに、
エルヴィンも負けじと瞬時に距離を詰め、扉を抑えた。
「これは仕事の一環だ。雇われの君に拒否権は無い」
「明らかなパワハラだろう!?大体私が女装しなくとも兵団には
沢山の女性兵士がいるはずだ。その誰かに頼め。
それこそ拒否などせぬだろう!?」
「その相手は拒否しないだろうが、私の方が拒否するんだ!
君以外の相手を婚約者として紹介するなど私には考えられない!」
「考えろ!発想を飛躍させるのは得意分野だろう!?」
「それなら私は考える事を放棄する!」
扉の前で攻防を繰り広げていると、
やり取りを見ていたリヴァイがナナシを援護するように
言葉を発した。