過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第49章 男たちの戦い
「エルヴィン、てめぇは部下の女兵士を婚約者に仕立てあげろ。
万が一、こいつの女装がお粗末だったら良い笑いものになるぞ」
「そうだ!リヴァイの言う通りだ!考え直せ!」
「それにてめぇとナナシじゃ、犯罪臭がする。
体格差を考えたことあんのか?おっさんと未成年にしか
見えねぇんだぞ?」
それはそうなんだけど・・・素直に喜べない援護が来たな、と
ナナシは思ったが、折角リヴァイが止めようとしてくれてるので
口にはしない。
エルヴィンは扉を抑えながら、リヴァイを静かに見据える。
「逆に俺とナナシだったら、体格的に犯罪でも何でもねぇ。
むしろ丁度良いくらいだ。だからナナシは俺の恋人として
出席させる」
「・・・・・・・・・・・・は?」
待ってくれ、リヴァイ。何故そうなった!?
全然話に追いつけないナナシを尻目に、
エルヴィンとリヴァイの言い合いが始まった。
「笑わせるな、リヴァイ。おまえだって良いおっさんだろう?
愛があれば体格差など問題にはならない」
「そっちこそ笑わせんな、クソが。調査兵団団長が
ロリコンの変態だって広がったら洒落にならねぇだろうが。
私情は捨てろ」
「私情を挟んでいるのはそちらだろう?私は団長として
今回ナナシを同行させるんだ」
「俺だって兵士長として、そいつを同行させるつもりなんだが?」
「たかが十六人くらいの見合い話でナナシに迷惑を掛けるな。
自分で処理しろ、兵士長殿」
「てめぇこそいつもの口八丁で二十五人の女を振りやがれ、
団長様?」