過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第49章 男たちの戦い
「情報を聞き出せる程の手練手管があるなら、
俺で試してみねぇか?」
「何故そうなる?お主は私が男だと知っておるではないか。
無理だ」
「無理かどうかはヤってみなきゃわかんねぇだろ?」
ペロリと唇を舐めるリヴァイはとても野性的で、
女はかなり魅力を感じるだろう。
・・・が、ナナシは鈍感なのでそんなリヴァイの
お色気フェロモンに気づかない。
戸惑っている間にエルヴィンに肩に担ぎあげられ、
ナナシは目を白黒させた。
「これから私に男を落とすテクニックを実地訓練で叩き込んで欲しい」
「はっ!?断る!絶対嫌だ!」
「君は『教官』として雇われているんだ。私に指南するのは
当然の責務であると考えるが、君はそれを放棄すると言うのか?」
「それとこれは別であろう!?」
「いや、別ではない。私が教えを乞うているのだから、
教官として君はそれに答えるべきだ」
仮眠室へ連れ込まれそうになりながら、
扉の縁にしがみついてナナシが必死に抵抗していると、
リヴァイが怒りの形相でエルヴィンの脛を蹴った。
そのお陰でナナシは何とかエルヴィンから逃げ出し、
部屋の隅まで後退する。
「エルヴィン!てめぇ良い加減にしやがれ!
そりゃあ、セクハラとパワハラだ」
「・・・・・・リヴァイ、邪魔をしないでくれないか?」
「先に俺の邪魔をしたのはてめぇだ」
ギリギリと睨み合う二人を見て、ナナシはつくづく
実家に帰りたいと思った。