過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第47章 『絶世の美女』と嫉妬
髪を乱しながら荒い息をしているエルヴィン・スミスが
そこにいた。
美しい碧眼が暗い影を帯びながら何かを探すように動くと、
ナナシに焦点を合わせ細められた。
「・・・一体誰と会っていた?」
責めるような声色にナナシはツクモと会っていた現場を
見られていたのだと悟る。
疚しい事は無いので引け目を感じる必要も無いはずなのに、
何となく気まずかった。
「ツクモが来て、実家の事とかの報告を受けていただけだ」
「・・・・・・・・・」
『ツクモ』の名前を出した瞬間、エルヴィンの瞳が嫉妬に揺れる。
出迎えてくれもせず、他の男と会っていたナナシに怒りが涌き、
乱暴にその身体を抱きしめた。
突然抱きしめられたナナシは目を白黒させるしか無く、
エルヴィンの反応を待った。