過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第47章 『絶世の美女』と嫉妬
ハンジはチラリとエルヴィンの背後にいるナナシに視線を向け、
ゾッとする。
そこには異常な程無表情で此方を見つめるナナシがいた。
確かにいつも無表情に近いが、
その瞳に感情が乗っているので不自由した事は無かったのに、
今のナナシにはどのような感情で此方を見つめているのか
全く読めない。
嫉妬しているのか、何も感じていないのかさえわからず、
ハンジは困惑していたが、少しするとナナシは
何事もなかったかのようにまた道具の片付けを再開し始めたので
安堵する。
「行こうか、ハンジ」
ナナシがどんな反応をしたのか面白がっている男にそう言われ、
ハンジは馬車へ向かう。
廊下に出ると、調査兵団の兵士達がハンジの姿にどよめいた。
「あの美女は一体誰だ?」
「馬鹿!ハンジ分隊長だよ」
「嘘だろ、あの人あんなに美人だったのか!?」
「団長と並ぶと美男美女過ぎる・・・」
様々な発言が飛び交う兵舎を抜けると、
馬車の所でモブリットがハンジ達を待っていて、
彼は目を大きく開いて言葉を失っているようだった。