過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第47章 『絶世の美女』と嫉妬
真っ赤になりながら動かなくなったナナシを怪訝に思い、
エルヴィンは腰を屈め覗き込む。
「どうした?ナナシ。気分でも悪いのか?」
「・・・・・何でもないから、無駄に近づくな」
顔を必死に逸らすナナシにエルヴィンは
「もしかして・・・」と頬を緩める。
「私のタキシード姿は似合っていないかな?顔を背けるほどに・・・」
わかっていて意地悪な事を言ってくるエルヴィンに
少しムカついたが、その挑発に乗って
ホイホイ彼を見てしまったら更に墓穴を掘りそうだったので
言葉を曖昧に濁していると、
人目を憚らずに腰を抱いてきたのでギョッとした。
ここにはいつものメンバーでは無く、ニファやリーネがいるのだ。
変な噂が兵団内を飛び交っては、団長としての沽券に関わるだろう。
「おい、その手を離せ」
「君がちゃんと私を見てくれたら、やめてあげるよ」
腰を抱くエルヴィンの手が怪しげな動きを見せ始めたので、
仕方なくその顔を見上げると彼は綺麗に微笑った。