過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第47章 『絶世の美女』と嫉妬
「・・・・そうだね。君ほどの美人になら惚れてしまいそうだが、
その前にもっと淑やかになってくれ。最低限女性としての認識を
持って貰わねば話にならない」
褒めているのか貶しているのかわからないエルヴィンの言葉に
ハンジはまた笑い、ナナバ達も控えめに笑った。
ふとエルヴィンは先程のハンジの言葉を頭の中で反芻し
「何故、ここでナナシの話が出てくるのだろうか?」と考え、
視線を部屋の奥へ投げる。
視界の隅にナナシの姿を捉えると足早に奥へと向かい、
化粧道具を片付けているナナシへ声を掛けた。
「やぁ、ナナシ。ハンジのメイクを手伝ってくれて、
ありがとう」
恭しくナナシの手を掬い取り、甲にキスを落とす姿は
とても様になっていて、ニファとリーネからは黄色い声が上がる。
いつもの七三分けでは無くオールバックにした髪型に
黒のタキシード姿を認めると、ナナシは頬を赤く染めながら
視線を逸らした。
イケメン過ぎて直視出来ない!
整った容貌が更に洗練されて、
落とせない女はいないんじゃないかと思うくらい格好良かった。
顔から目を逸らしどこに視線をやろうかと迷った挙句、
分厚い胸元を見遣る。
鍛えぬかれた胸筋にまたうっかりときめいてしまった・・・。