過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第47章 『絶世の美女』と嫉妬
「うっそ!こんなに変わるものなのっ!?」
「ハンジ分隊長、綺麗です!これでフラれるなんてありえません!」
リーネとニファが『絶世の美女』を褒め称えると、
ハンジも鏡を見ながら「自分じゃないみたい」と口を開けて笑った。
「ハンジ、淑やかな女性は口を大きく開けて笑わんぞ!
扇を持って口許を隠せ」
「えぇ~!やだよ面倒くさい。大体ナナシって本当に男なの?
化粧道具もこんなに持ってるし、作法にも煩いなんて・・・」
絶世の美女になっても中身はハンジなので、
ナナバは心の中で「こりゃ、またフラれるわ」と思った。
ハンジに扇を持たせて、化粧道具を片付けていると
扉がノックされ、タキシード姿のエルヴィンが入ってきた。
燕尾服では無い事から、多少略式的な会食で
お見合いに同席するのだろう。
「ちゃんとキッチリ美人に仕上ったか?
ハン・・・ジ・・・・?」
「あ、エルヴィン!聞いてよ!ナナシが
大口を開けて笑うなとか言うんだよ!」
入室してハンジの姿を見た瞬間、エルヴィンは固まった。
目の前にいるのはどう考えてもハンジなのだが、
いつもより桁違いの美人になっていて驚愕する。
思わず頭の天辺から爪先まで検分するように見つめていると、
ハンジは面白そうに「あたしに惚れた?」と誂った。