過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第47章 『絶世の美女』と嫉妬
迫力満点の笑顔に後退りするものの、
ナナバもその分前進してくるので全く意味が無い。
こうしていても拉致が明かないので、
こうしてはどうか?という意見を出すと、
彼女達は真剣な顔でナナシの話を聞いてくれた。
「教官の言う通りの方が良いかもしれませんが・・・
私達の道具では」
ニファが困ったように今ある道具に視線を落とすと、
重たい空気がまた流れた。
要は道具や化粧品があれば問題無いので、
ナナシはおずおずと自分の持っている化粧品の提供を申し出ると
彼女達は目を輝かせながら「持って来て!」と
ナナシを部屋から追い出した。
廊下に出されたナナシは人目が無い事を確認し、
自分の影に手を入れる。
ナナシの影は四次元ポケットのような物なので、
そこから化粧品や道具の入ったボックスを取り出すと、
またすぐに部屋へ引き返した。
あまりにも早い帰還に三人は目を丸くしたが、
ナナシの手にボックスがあったので一斉にそれに群がってきた。
ナナシのお化粧ボックスの中には、
三人が持ち寄ったものよりも多くの化粧品が入っていて、
メイク係の彼女達は興奮しながらそれを漁る。
多分、この室内で置いけぼりを食っているのはハンジだけだろう。
椅子に座りながら爆睡している。