過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第47章 『絶世の美女』と嫉妬
手伝いと言っても、メイク道具を取ってとか
そういうものが主だったので、次第に
「いなくても良かったんじゃね?」と考え始めたが、
変装用に化粧もするナナシは三人のメイク術を観察する事にした。
調査兵団の中でも、お洒落に気を使うらしい三人を集めたので
メイクの腕はなかなかのものだった。
まだメイクだけだったが、普段『クソメガネ』と
揶揄されているハンジが『美人』へとジョブチェンジしてく。
ファンデーションを塗り、
目元にキッチリアイメイクを施したハンジを見れば、
そこら辺の男なら惚れるくらいのレベルである。
あー・・・でも、ファンデーションの色が
微妙に合ってない気がするな、とナナシはそわそわし始めた。
化粧道具を見ると、恐らく三人が持っている化粧品を
持ち寄ったのだろうと思える量の品数があったが、
若干偏りがあるようにも見えなくもない。
それにメイクがきつすぎる。
・・・いや、ドレスアップするのだから盛るのは必要だが、
如何にも「盛りました!」感があって、
相手の男に引かれないだろうかと思う。
そわそわと挙動不審になり始めたナナシに気づいたナナバが
振り向き「どうしたの?」と声を掛けてきたが、
彼女達が折角頑張ってメイクしているのに口を出すのも憚られ
「何でもない」と返す。