過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第44章 変態と鈍感
「返せ!変態!」
と叫びながらタックルしたのはナナシで・・・。
うっかり加減を忘れてしまい、突進の勢いそのままエルヴィン諸共、
執務室のガラスを突き破って二人は地面へ落下してしまった。
ガシャーン!!とガラスが割れた音を聞いて、
ナナバとミケは慌てて窓枠へ寄って下を確かめた。
執務室は四階にあり
・・・普通だったらタダでは済まない高さである。
下を覗き込むと、エルヴィンを抱えて着地したナナシが居り、
ナナバとミケはホッと息を吐いた。
勢いのままガラスを突き破ってしまったナナシは空中で、
共に外へ放り出されたエルヴィンを掴んで抱え上げ、
落下の衝撃に備えるべき筋肉操作で肉体を強化して
地面へと降り立った。
地面へ降りた瞬間、派手な音と砂埃が舞ったが、
些末な事だろうと捨て置く。
抱えられたままのエルヴィンが「危なかった・・・」と
感想を漏らしたので、彼も無事だろうと安堵した刹那・・・・
「おい、こりゃどういう事だ?」
と殺気が滲んだリヴァイの声が響き、顔を上げると
予想を裏切らず額に青筋を立てたリヴァイが
超硬質スチールの刃で掌を叩きながら見下ろしていた。