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過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第44章 変態と鈍感







ドアを開けたらいきなり紙袋が顔面に飛んできて
驚いたミケだったが、手でその紙袋を掴むと室内の様子を
把握すべく視線を巡らせる。


脇腹に手を当て痛みに震えながら
床に倒れているエルヴィンと、
同じく床に力無くうつ伏せで倒れているナナシ、
その横に殺気立ったナナバが仁王立ちしているという執務室内の構図に、
ミケは本能的に「ヤバイ時に来た」と青褪める。


そして三人が紙袋をミケが持っていると認識した瞬間、
同時に声が上がった。


「ミケ!エルヴィンに絶対それを渡してはならぬ!」

「ミケ!それを私に寄越すんだ!」

「ミケ!それをエルヴィンに渡したらダメ!」


「ミケ!」の部分だけ綺麗にハモッたが、
その後の言葉がそれぞれ違ったので、一瞬反応が遅れる。

ナナシとナナバは紙袋をエルヴィンに渡すなと言っていて、
エルヴィンだけが寄越すように言っているのはわかる。



だが、何故?


この紙袋の中身はそんなにヤバイ代物なのだろうか?

興味はあるが、三人が恐ろしい形相
(ナナシだけは何故か色気たっぷりの上目遣い)で
自分を見てくるので、詮索はしない事にした。

聞いてしまったら更にヤバイ事に巻き込まれそうで恐い。


呆然と立ち尽くすミケに、立ち上がったエルヴィンが
紙袋を取り戻そうと突進してきたが、
ナナバが「ミケ、パス!」と言ってきたので反射的に紙袋を投げた。


だが、エルヴィンがリーチの長さで宙を舞う紙袋をキャッチしてしまい、
ナナバは顔面蒼白になりながら、ミケに紙袋を取り戻すように叫ぶ。


何が何だかわからないミケは戸惑いながら
「あ、あぁ・・・」と頷いたが、足を踏み出す前に
小さな影がエルヴィンへタックルをかましたのを
視界に捉え動きを止める。





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