過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第44章 変態と鈍感
「いや、何故と言われても・・・男だし。
別に欲しくないし」
「ナナバ・・・お店の場所と、ナナシが着用した服を詳細に・・・」
何だ、その作戦状況を報告しなさい的な口調は・・・と、
無駄に真面目な顔をしたエルヴィンに呆れ果てる。
「地図は後で書いてあげる。
ナナシが最初に着たのは水色のワンピースで、
次に着たのは白いフリフリのワンピースだったよ。
どっちも可愛さがウリだったけど、清楚さがある水色が良かったな~」
「ナナシ、今直ぐ買いに行こう!
昼食や書類は後でも出来る。ワンピースが売り切れてしまったら大変だ」
エルヴィンが財布を持って出ていこうとするのを、
ナナシは必死で止めた。
昼食と仕事の方が大事だろうが!!
つーか、さっきまで身体が辛いとか言ってたのに、
全然平気そうではないか!
「絶対着ないからな!お主が無駄金を使うだけになるぞ!?
大体男が女物のワンピースなんぞ着てたら、
ただの変態ではないか!」
その言葉にエルヴィンは動きを止め、
ナナシを頭の上から爪先まで観察するように見た。
何かを考え込むような仕草に
「やっと自分が男だという事実に気づいたか」と安堵していると、
ナナバが「え?でも・・・」と余計な爆弾を投下する。
「ナナシ・・・女性物の下着買ってたよね?」