過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第44章 変態と鈍感
「リヴァイも呼んで花茶でも淹れるか。
功労者だからな・・・」
自室に茶葉を取りに行く前に、
ナナシはエルヴィンに財布を返した。
「すまぬ・・・少し使い過ぎたかもしれぬのだが・・・」
「構わないよ。君には貢ぎたいからね。
ところで、何を買ったんだい?」
「ガラス製のポッドとティーカップとか・・・」
お菓子の材料はリヴァイのお金だし、言わなくても良いだろう。
あと何となく・・・下着とか言いたくない。
「・・・洋服とかは買わなかったのか?」
突然エルヴィンからそう言われたが、
兵団で着る洋服の替えはあったので買ってないと答えていると、
ナナバが笑顔で口を挟んできた。
「聞いてよ、エルヴィン!私の行きつけの洋服店に
ナナシを連れて行ったんだけど、女の子と間違えられて
ぐいぐい接客受けちゃってさ!面白半分で試着させてみたら
ワンピースがすっごく似合ってたの!
買っちゃいなよって言ったのに、エルヴィンのお金だからって
遠慮しちゃって・・・あー本当に勿体無かったなー」
ナナバの言葉を聞いた瞬間、
エルヴィンは勢い良く椅子から立ち上がり
「何故買わなかったんだ!?」と叫んだ。
その形相がとても恐ろしくて、ナナシは一歩下がる。