• テキストサイズ

過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】

第44章 変態と鈍感







ナナシとナナバが調査兵団本部に戻り、
団長執務室へ行くと額に汗を滲ませながら
書類仕事に打ち込んでいるエルヴィンがいて、
ナナシは彼が腕輪をしているのだとすぐ気づいた。

ナナバはこちらにも気づかず、
様子のおかしいエルヴィンに首を捻るが、
律儀にも声を掛けた。


「ただいまー、エルヴィン。買い物ついでに昼食買ってきたけどいる?」

「やぁ、おかえり二人共。買い物は楽しかったかい?
勿論頂くよ」


どこかぎこちない微笑を浮かべたエルヴィンに
ナナシが「まだ身体に合わないか?」と問うと、
彼は「いや・・・」と手首を擦る。


「付け始めた時は随分弱くなったな、と思っていたのだが・・・
長時間付けていると・・・きつくなってきてね。
今ではサインするのも辛い状態だ」


疲労の色を見せるエルヴィンにナナシは
「取り敢えず、お茶でも淹れてくるから少し休憩しよう」としか言えず、
ナナバも「よくわからないけど、昼食取ろうか」と微苦笑を浮かべた。


「そう言えば、リヴァイがそこに何かの荷物を置いてったよ?
とても機嫌が悪そうだったが・・・」



部屋の隅を見ると、そこには(ハンジが無理矢理)リヴァイに
持って帰るように渡した荷物が置かれていて、
ナナシ達は中身の確認をする。

馬で通りかかったリヴァイに
ここぞとばかりに荷物を押し付けたので、
彼の不機嫌そうな顔は容易に想像がついた。



ハンジは本と下着、ナナバは洋服、
ナナシはガラスのポットとティーカップのセットを
持って帰ってもらっていたので、本当に申し訳なく思った。

いくら馬で来ていたからって持たせ過ぎだろう!?とは思ったが、
馬に荷物を括りつけてみたら意外と大丈夫だったので、
そのまま見送ってしまったのだ。





/ 1001ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp