過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第35章 薬
やがて、諦めたかのようにエルヴィンの喉が
上下に動き薬を飲み込んだ。
その様子を見届け、胸を撫で下ろしたナナシは
エルヴィンから唇を離そうとしたが、
逆に強い力で頭部を抑えられ身動きが取れなくなった。
見ればエルヴィンの瞳が可笑しそうに弧を描いている。
直後、エルヴィンの舌がナナシの口内に侵入して、
掻き乱すように蠢いた。
薬を飲ませたはずなのに効かなかったのか!?と
若干パニックになりながら、エルヴィンの腕や肩を叩いていると
事態を理解したミケが引き剥がしにかかる。
「どうやら立場が逆転したようだ。
今度はエルヴィンを引き剥がすぞ。昨日の二の舞いだ」
「・・・おい、今度はエルヴィンを蹴れば良いのか?」
「やめときなって。あんたの蹴りなんか食らったら普通死ぬでしょ」
三人の助けで何とか解放された頃には、
ナナシの息は上がっていて力なく床に突っ伏した。
脇腹も痛いが、エルヴィンのせいで腰が砕けた・・・。
視界の隅でエルヴィンが唇を舐めながら笑っているのが見える。