過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第35章 薬
「そこまで私のキスに感じてくれて嬉しいよ、ナナシ」
「あーあ、エルヴィン、薬飲んじゃったんだ?で、どう?
変な感じとかある?」
「いや、彼の言う通り毒では無かったようだ。
特に悪い変化は見られないよ」
「じゃあ効き目も無かったの?」
エルヴィンとハンジの会話を聞いていたミケが「待て」とある事に気づく。
「以前のおまえなら、俺達の前だろうと
ナナシに襲いかかっていなかったか?
今はやけに冷静に見える・・・・」
「そういえば、そうだな。今は理性が保てている」
「今はナナシに発情してないって事?」
首を捻ったハンジにエルヴィンは良い笑顔で否定した。
「まさか。理性で抑えているだけで出来るなら今から襲いたいくらいだ」
「・・・・・・・変わってねぇな、中身は」
「・・・・・・・変わってないね」
「・・・・・・・薬は効いたが、エルヴィンの心にブレは無し、か」
リヴァイとハンジの意見をミケが締めると、
エルヴィンは肩をすくめナナシに近づく。
床に横たわっていたナナシを抱き上げソファへ寝かせると、
優しい手つきで髪を撫でた。