過去と、今と、未来の狭間で【進撃の巨人 エルヴィン 前編】
第35章 薬
「では私がこれを飲んだらどうなる?
君への気持ちも態度も変わると言うのか?」
「・・・少なくとも今までのような暴走はしない・・・はずだ。
そうなれば私も幾分楽な気持ちで仕事が出来るのだが・・・」
それを飲んでも暴走するなら、
自分にはどうにもならないだろうなと考えていると、
「これの成分は何だ?」と尋ねられギクリとする。
ぶっちゃけ、エルヴィン達には説明出来ない成分で出来ている。
異世にある薬草数種にナナシの血を混ぜ込んでいるので、
何と言って良いかわからない。
「・・・・・・・・・・・・薬草、とか?」
「その薬草の名前と『とか』と部分を詳しく聞かせてくれ」
「・・・・・・無理」
「無理じゃない。君はやれば出来る子だろう?」
あぁ言えばこう言うエルヴィンにナナシは苛立つ。
これはエルヴィンの為でもあるのに、
何をそんなに躊躇う必要があるのか・・・。
本当に毒だと思っているのか?
「毒ではなく薬だと言っている」
「その立証がなっていない。一度ハンジに分析させても良いだろうか?」
「そんな面倒をせず、今お主に飲ませるにはどうすれば良いのだ?
私が目の前で飲めば納得するなら、そうするぞ」
ハンジに分析させたら要らぬ事を掘り起こされそうだ。
何で自分がこんな必死になって飲ませなければならないんだ、と
バカらしくなってくるが、放置したら放置したで
仮眠室の二の舞いが起きそうで恐ろしい。