第1章 ファーストキス
「ちゃん!」
あたしは二宮さんの声が入ってこなかった。
「……ちゃん?」
何度目かの呼び掛けであたしは我に返った。
「……ぁっ!ご、ごめんなさい!!」
あたしは慌てて二宮さんから離れた。
「いや、俺は大丈夫だけど……あ、てか何もされてない?」
「あ……だ、大丈夫です……」
あたしは、なんとなく恥ずかしくて目を合わせることが出来なかった。
「はあ……。もうさ、ちゃん隙見せすぎ。いいか?ちゃんみたいな子は、アイツらの大好物なんだよ。これからは俺以外の男に隙見せるな。」
「……はぃ…ごめんなさい……」
多分、違うと思われることを言われて、どう返事していいか分からなかったので、とりあえず謝った。
「そろそろさ、ちゃん自覚しようか?」
「……自覚?」
あたしが考え込むと、目線を合わせられた。
「自分がかわいいってこと」
「…っ……
そ、そんなこと言うなら、二宮さんも同じです!」
「俺?」
「さ、さっきの3人組が帰っていく時、“嵐の……"って話してました!国民的アイドルが女といたって流されるかもしれないんですよ!?そんなことになったら大変なことになるじゃないですか!」
あたしの機関銃のような言葉攻撃に、二宮さんは驚いていた。
「……それさ、心配してくれてるの?」
「そうです!
二宮さんや嵐さんが大変なことになってもあたしのせいにされたくありません!」
少し、言い方キツかったかなと思ったけど、二宮さんは優しい表情のままだった。
「……そっか。ちゃん、あのさ」
「大丈夫?……て、ニノ、ここにいたの?」
二宮さんの言葉を遮ったのはお姉ちゃんだった。
「お姉ちゃん」「林……」
「…林、ちゃんが外にいたこと知ってたのか?」
「え?うん。それが、どうかしたの?」
「いや……なんでもねぇけど……」
二宮さんの曖昧な返事に、納得してないお姉ちゃんはすぐに何かを思い出したみたいで、笑顔になった。
「そうそう!このあと、二次会行くんだけどニノ行く?」
「あー…俺はいーや。明日朝早ぇし。」
「だろうと思った笑
は……帰る?」
「うーん帰ろうかな。なんか疲れちゃったし」
「わかったわ。」