第4章 夏休み開けて
霧が晴れる頃に 78話 打ち上げ!
「カンパーイ!」
カチャンカチャン
コップのぶつかり合う、まるで居酒屋のような音が出ているのは学校の近くのお好み焼き屋、値段と場所が手頃で良く生徒が言っている所だ。
今、仁のクラス、1組はほぼ全員で運動会優勝の打ち上げに来ている。
「せっかく勝ったから打ち上げやろーよ!」
そう豪が言ったのがきっかけとなり、場所を決め、一旦家に返ってからまた来て、人数も集まり乾杯をして今に至る。
「いやー勝てるとはね!」
「お前転んだだろ~、俺が取り返たんだぞ」
「お前もバトン落としたろーが」
ザワザワと色んな所で繰り広げられる今日の運動会を話題とした会話の中、こんな、声が聞こえて来る。
「いこーよ~」
「え~緊張するぅ~」
「大丈夫だって」
そういってオレンジジュースを飲んでいる仁に…ではなくそのとなりのりんごジュースを一気のみしてる慶に近付いて来る女子3人グループがいた。
「雨宮くん、今日かっこよかったよ!」
「うんっ!メッチャ速かった!」
「ちょっとここすわっていぃ~?」
そういって慶の右隣りにキャイキャイ言いながら座る女子3人。
(ここ居づらいな…)
運動できて顔が良い慶は女なれしているらしく楽しそうに女子達と話しを進めるが、仁は小学校友達など楓だけと言っていい程であったし、なんとなく今慶に話しかけているタイプの女子は苦手であった。
そのこともあり、仁は4人席の隅っこで2人だけでお好み焼きを作っている林と楓の所にお邪魔する。
「慶モッテモテだな」
楓の隣に座り込み、今の出来事を2人話す。
「まぁ慶ちゃん、最近はあれだったけどやっと見せ場来たからしばらくモテるんじゃない?」
慣れっこらしい林が言う。
「雨宮君すっかりヒーローね、まぁあれだけ目立てば当然なのかな?」
よくわからないとでも言いたげな楓も言う。
「まぁ、しばらくほっとくか」
頬杖をつき、鼻の下をのばしている慶をぼんやり見ながら仁が呟き、欠伸をした。
もう外も暗い…