第4章 夏休み開けて
霧が晴れる頃に 76話 リレー結果
「う~…まだかな…」
林が緊張に耐えられず不安の声を出す。
その時、審議団が解散した。
視聴覚委員のアナウンスが流れる。
「えー、ただいまの1年全員リレーの1位と2位が大変僅差だったため審議を行った結果結論はでました。発表します…」
「おねがいっ!」
林が仁の隣で手を組み合わせ、祈る。
「1位…1組青組!」
「キャァァアアアアアアア!」
「イヨッシャーーーー!!!」
「勝ったぁあああああ!」
青組の列、仁のクラスから歓声が飛び交う、隣にいる林も、ゴール地点にいる慶も例外ではなかった(仁と楓は例外だった)
一通り歓声が終ると次に喜びの刃先は慶に向いた。
「胴上げするぞー!」
慶がサッカー部だったか…などの男子に担ぎだされグラウンドの真ん中で大きく胴上げされる。
ワーッショイ!ワーッショイ!
繰り返される胴上げにだんだんクラスの男子だけでなく女子も、そして悪乗りしてきた他のクラスの子や、五十嵐も加わり、50人程で胴上げを行うという貴重な経験をした慶だった。
「っはぁ~」
やっと胴上げが終わり、落ち着いたクラスの雰囲気に慶が安堵のため息をつく。
「よかったぁ~、これで負けてたら俺完全にアウトじゃん」
「確かにね~、ま、勝ったんだしよかったじゃん」
林が人事で言う。
「でも、お前今日活躍しまくってるな」
と、仁。
「そうよ、株上がるんじゃない?」
と、楓。
大人びた2人に冷静な分析をされ目が輝く慶。
「マジか!やった!頑張ったからな!」
「ま、楓は3人抜かしたからな、お前は2人、そういうとこは慶だな」
「あぁ、まぁ…雨宮君だね」
「さすが慶ちゃんだね」
3人で口を揃えて慶の残念な所を言うと
「また俺結局それ~!?」
叫ぶ慶がいた。